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[コメント] 宇宙探索編集部(2021/中国)

穴の空いた胸には、ロマンのかけらがほしいのである
ペンクロフ

ドキュメンタリー映画『虚空門 GATE』を観た時に、自分がなぜ『未知との遭遇』をあんまり好きじゃないのか、その理由が判ったような気がした。UFO現象とは何なのか、その本質に触れてないからだ。リチャード・ドレイファスは、UFOにのめりこんでおかしくなってゆく。違うんだ。UFOにのめりこんでしまう人は、もともとちょっとおかしくて(失敬)人生がいろいろうまくいってないんだ。だからUFOに心を奪われる。因果があべこべなのである。

「虚空門 GATE」は、UFOに心奪われる人々がどれほど心やさしくて、どれほど無防備で、どれほど騙されやすくて、どれほどチャーミングかをよく捉えていた。彼らは社会の周縁にいる人々だ。資本主義のド真ん中でバリバリ成功してるやつなんか、ひとりも出てこない。

「UFO現象」とは即ち、「この世界の片隅でUFOに心奪われちゃう人々の内面にある心的現象」のことであって、お空にUFO飛ぶや飛ばざるや、イエスかノーかなんてしょうもない話ではないのである。

宇宙探索編集部』はそのことを判ってる映画だ。オレが名づけたオレの好きなジャンル「底辺から見る世界」ものだ。いや「底辺から見る宇宙」かな。どうしようもない人たちばかり出てきて、どうしようもない人たちにどこまでもやさしい映画だ。そのやさしさにオレは感動したよ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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