[コメント] Pearl パール(2022/米)
殻の中の「パール」が何故ああなったかという納得感だけでなく、鏡像マキシーンの行末(第三作の落とし前)に思いを馳せさせる重層性が正に続編。そして「やはり」なミア・ゴスの爆発力。「ヒト」の薄皮一枚下で蠢く欲望が、歯と共に突如剥き出しになる鮮烈さ。『インランド・エンパイア』のローラ・ダーンもビックリだろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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夢による呪縛、神の影(十字架)、あらゆる抑圧、「戦争の時代」(第一次大戦とベトナム)と「ポルノの時代」の重要な節目(第一次大戦後とベトナム後)フィルムとVHS)での出現。パールとマキシーンが合わせ鏡の鏡像であることが丹念に確認される。しかし、前編を経て観客が知っているのは、「脱出」が叶わなかったパールと、鏡像たるパールをトラックで踏み潰し、「クソな神を讃えよ」と吐き捨てて閉ざされた死地を「脱出」したマキシーンの対比である。本作により、この対比がより鮮やかになった。時代と文化、その「夢」が強いた青春の腐れた鬱屈を踏み潰す、1985年のマキシーンに期待が高まる続編だった。
シンプルながら見事な作りで、そこにミア・ゴスが決定打を重ねていく。ラストの「笑顔」は真に圧倒的。これ、止め絵にしないのが素晴らしいと思います。ミアのポテンシャルあってこそ。
ところで、あの「笑顔」に遭ったハワードのリアクションは描かれないのだが、実際どうだったのだろう。恐らく自作でも描かれない第二次大戦の従軍の経緯も踏まえると、どう「愛=共犯関係」に至りそれを維持したのか、想像と興味をそそられるところで、そんな省略の手際も含めて、この監督は巧いと思う一方、その辺が逃げであってもっと物凄い修羅場が描けたはず、という観点に立てば、kionaさんの感想に同意せざるを得ません。
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