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[コメント] 犯人は21番に住む(1942/仏)

快活で気持ち良く充実した90分もの。スリラーだがコメディという配合が絶妙で、錯綜するプロットがとぎ解される目的は、謎解きと同時にギャグのオチに似ている。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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歌手志望シュジー・ドレールのほとんど二重顎のキャラが素晴らしい。このヒロインのセレクト自体がコメディだと語り、そのスタンスを映画は揺るがせにしない。肩を揺すって迫り出してきて歌いまくるショーマンらしい自己主張、これは手品師のジャン・ティシエも共有していて映画の調子を一貫させている。鳥籠から出すと死んで戻すと生き返る小鳥の手品が鮮やかさよ。顔のない犯人の人形が机を勝手に歩くショットも驚きがある。酔っ払い殺害の犯人主観の長回し、ガス灯の横に座って登場するピエール・フレネーのダンディもいい(『大いなる幻影』の大尉ですな)。

歌手志望のドレールが小さなリサイタル開く終盤というサブプロットも愉しいし、ここでの鳥の鳴き真似芸の全面展開が爆笑もの。なんで三人が共犯と判ったのかはどうでもよい、解決というより「オチ」なんだろう。名刺は単独犯だと思い込ませる手法だったってことなんですな。冒頭の命令が大臣から部下へどんどん降りる(制限日数がどんどん短くなる)ギャグは、確か川島雄三がどこかで使っていた記憶がある。牧師に化けて部屋間違えてという捜査が反撃されるの展開も怪しくていい。

(評価:★4)

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