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[コメント] ショーイング・アップ(2022/米)

そんなものにかまっていられないのだろう。リジー(ミシェル・ウィリアムズ)の衣服はルーズで野暮ったい。所在なげに立ち尽くす寸胴体型の後ろ姿から、ああこの人は善い人に違いないという気配が漂ってくる。こういう真面目で不器用な人ってとても人間的だ。
ぽんしゅう

だけど平凡で真面目な人って最も映画の主人公にしにくいキャラクターじゃないだろうか。

ライバル(だとリジーは意識している)ジョー(ホン・チャウ)のマイペースぶりに、リジーは苛立っているようで結構冷静で、彼女はあくまでも自分のペースを取り戻そうとする。そんなリジーとジョーの関係に割り込んだ「傷ついた鳩」の存在の先にやがてリジーの家族模様が見え始める。

元の陶芸家で引退した父親(ジャド・ハーシュ)の脱アート(下世話な友人たち)の達観。反対にビジネスウーマンとして美術学校の経営に携わる母(メアリーアン・プランケット)の現実志向。引きこもりアーティストとしていささか常軌を逸した兄(ジョン・マガロ)のマイペースぶり。

そんなエキセントリックな家族のなかで、自然と接着剤的にふるまう主人公リジーの真面目さが愛おしい。いわゆる「家族の存在」は崩壊しているようでいてリジーをハブにして「家族の関係」はつながっているのだ。

ささやかな爽快感を経て日常へと戻るラストがとても心地よかった。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)jollyjoker

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