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[コメント] 逆噴射家族(1984/日)

マイホームを持つスノビズムを嗤う、という感性は当時広く共有されていた。しかし、ではなぜスノビズムは嗤われなければならないのか、理解している者は本作のスタッフに誰もいなかったのではないだろうか。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ただ逆噴射という流行語(精神病患者を揶揄するポリコレ以前のグロテスクな流行語だ)に寄り添っただけに見える。家がなくなり青天井の高速下で愉しく過ごす一家、というラストは、いいナンセンスかも知れないがぱっとしない。もっと描くべきことがあったのではなかったかという後悔が漠然とラストを包んでいる。本作の製作にかかわった映画人で(原作者を除いて)一戸建てマイホームを建てた人はいないんだろう、きっと。

首がない小林克也ははまり役で、中盤、会社に復帰してとつぜん気がついて、憑かれたように地下鉄のなか爆走して帰宅して我が家の水道管ぶち破る件が秀逸。しかし終盤の破壊行為は納得させてくれない。ただ終盤だから家族と対決しているだけに見える。

なお、旧軍人植木等は出色の造形で、工藤夕貴に「この姑娘、13にしてはよか体躯」と南京を思い出すのだった(SM縛りがすごい)。小林よしのりがこのホンに関与していたとは、今や信じがたいものがある。ロケは浦安周辺の模様。再見。

(評価:★3)

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