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[コメント] 愛に乱暴(2024/日)

夜、ゴミ置き場が燃えるカット。これはフラッシュフォワード。終盤にまた出てくる(ファーストカットにフラッシュフォワードを持ってくるのって、いい加減飽きが来ているのだが)。
ゑぎ

 朝、縁側から降りてゴミ出しする江口のりこ。母屋(別棟)のお母さん(義母)−風吹ジュンに捨てるゴミは無いか、声をかける。このゴミ出しのシーンは全編で4〜5回反復される。早朝ジョギングから戻ってくる夫の小泉孝太郎。ろくに返事をしない。ゴミ捨て場にカラス。追い払う江口。分別されていないゴミ。カラスが屋根の向こうへ飛んで行く。これはCGか。黒い煙が上がっている。火事かと思う。アバンタイトルから極めて不穏だ。

 小泉の出勤と同時にオフで瀬戸物か陶器の音。ぴーちゃん?江口が呼びながら縁側の下などを探す。猫のぴーちゃんが姿を(どう)現すかは、全編に亘る本作の関心事になる。また、本作はオフ(画面外)の音の映画だ。猫の気配はオフの音でずっと表現される。あるいは、江口が床下で聞く夫と義母の会話。馬場ふみかの家の中で何かが落ちる音。これがいい。こゝの演出良かった。何らプロット展開に機能しないけれど、私は一番好きな部分かも。そして、イライラさせられる手持ちのカメラワークと照明。あと、本作は執拗な手洗いと、物の臭いを嗅ぐ映画。ワイシャツやチェーンソーの匂いを嗅ぐ際のうっとりとした表情にはゾクゾクさせられた。

 他にも、いろいろと無駄に(というと云い過ぎだが)混乱させられる仕掛けが盛り沢山だ。江口が度々スマホで見るSNSの書き込みに関しては、それにしても展開に呼応し過ぎていて、後から考えると、かなりワザとらしいと感じる。スイカを馬場ふみかの前のテーブルにドンと置く場面が怖いが、私なら、電車かバスの中でスイカを持って座っている江口のショットを挿入しておきたい。あと、魚(カマス)の数多過ぎだろうと思ったが、面白い仕掛けになる。結果的に、見せ方としては、チェーンソーよりもカマスの方が狂っていると私は思う。ラスト、母屋の縁側でガリガリ君を食べる、というのも良い仕掛けだ。こゝへ至る過程を空想して楽しめる。

(評価:★3)

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