[コメント] 銀座二十四帖(1955/日)
ワタクシ的には、充分に傑作と云ってもいいぐらい面白かった。冒頭近く、2階の窓から路上を見る高低を活かした演出が2箇所出て来るのだが、もうこの時点で、本作の調子の良さが分かる。
主人公は銀座八丁目で花屋をやっている三橋達也で、皆からコニイと呼ばれている。ヒロインは、采女橋の近くの、小夜福子の料亭にやっかになっている月丘夢路。小夜福子は月丘からお母さんと呼ばれているが、実の母親ではないので、義母か(月丘の父親の後添えか)。月丘の娘は鵠沼海岸近くに住んでいるが、月丘の夫は最後になってやっと登場する。
脇役では、花屋の売り子の一人、浅丘ルリ子がメッチャ可愛い。結構目立つ良い役。また、若き関弘子もいい役だ。彼女はチャーコと呼ばれる女給で、佐野浅夫(ジープという仇名の三橋の弟分)のヒロポンを心配する。あと、安部徹が、珍しくナヨナヨとした画家の役で、ざあます言葉を使う。そして、月丘の姪、北原三枝と、采女橋のたもとで絵を描いている、謎の絵描き、大坂志郎が、随所で登場しプロットをドライブして行く。
二つのハードなシーン、東銀座のキャロルというポン売りの巣窟と、クライマックスの夜の屋上(ナショナルと森永のネオンサインが見える)でのアクションもよく撮られている。特に、キャロルの場面では、2台カメラのマルチ撮影のように見えるのだが、実に見事な演出なのだ。
#ラスト近く、北原三枝と大坂志郎が待ち合わせるのは、汐留川の新橋。水上バスが見える。画面奥には全線座にかゝっている『女優ナナ』の看板が映る。
#タイトルの二十四帖とは、銀座中央通り、東銀座、西銀座のそれぞれ八丁。8×3=24ということらしい(見終わって調べて分かりました)。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。