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[コメント] ソウルの春(2023/韓国)

人間の強さ、弱さ、気高さ、醜さ、賢さ、愚かさ、を骨太に描いたドラマを携えた、超一級の軍事ポリティカルサスペンス。非常事態の中で人はどうなるのか、自分ならどうしただろうかと深く考えさせられた。
シーチキン

1979年の朴大統領暗殺を描いた映画は何本かあるが、それらは暗殺までにとどめており、その後がなく、光州事件を描いた映画も何本もあるが、その前に何があったのかは、これまでなかったのではないか。

韓国でついにその空白を描く映画が登場したということだろう。まさに満を持しての登場であり、その緊張感と迫力には心底しびれた。

クライマックスの一夜、彼我の力関係が二転三転する中で、双方ともあきらめることなく、したたかに二の手三の手を放つ。そのスリリングな姿は、事の善悪を超えた力でもって観る者を飲み込むかのような映画だった。

軍隊の描き方も秀逸。上官の命に従うことが絶対の軍隊の本質を、よく示したと思う。軍全体の人数から見ればごく少数に過ぎない高官の思惑で、強力な武力が動かされるからこそ、クーデターも起きるのだろうし、その怖さも感じさせた。

まさに傑作と呼ぶにふさわしい一本だった。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ひゅうちゃん

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