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[コメント] アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方(2024/米)

見る前に多くの人が予想するであろう、彼が司会を務めたテレビ番組(リアリティ・ショー)の採録や画面化は1ミリもない。言及さえされないのだ。
ゑぎ

 本作のプロットの上では、タイトルの「アプレンティス=見習い」の意味は「彼はあくまでもロイ・コーンの弟子だ」ということに尽きる。それが、本作の決定的に皮肉な視点だと思う。

 ドナルド・トランプ−セバスチャン・スタンがロイ・コーン−ジェレミー・ストロングに出会い、別れるまでの期間、概ね1973年から1986の約13年間(トランプの年齢で云うと27歳から40歳頃まで)が描かれる映画だ。劇中に年月は全く明示されないので、これは公式サイトの情報(ヒストリー)を元に記載している。

 実を云うと、私は1986年頃にトランプタワーを訪れたことがある(ビジネス目的ならカッコいいが、単なる観光で行った)。ちなみに、当時既に私のような日本の一介のビジネスマンでも、ドナルド・トランプやトランプタワーの存在は認知していた。もっとも、私の場合は、こゝがスピルバーグの住んでいるところか、という感慨が大きかったが。

 さて、画面の特徴は、手持ちのパンの多用と小さなズームイン/アウトの頻出で、かなり落ち着きのない、いわゆるドキュメンタリー・タッチの造型が基調になっている。ただし、これはトレイラーなどで事前に予想していた通りであり、実はもっと濫発していて辟易するのではないか、とも危惧していたが、思いの外節度のある使い方だった。このカメラワークとカッティングが本作の下世話かつダーティなプロット展開とそのスピード感創出によく機能しているだろう。また、全体に古いテレビ映像のようなヌケの悪い画面のルックは、『ホールドオーバーズ』のようにデジタル撮影してポストプロダクションで加工したものだろうかと思いながら見たのだが、見終わって調べると、16ミリフィルム撮影なども取り入れた複数メディアでの撮影のミックスのようだ。本作のこの1970年代ルックの再現も見応えがある。

 尚、本作を見た当日「セバスチャン・スタンとジェレミー・ストロングの2人が共にオスカーノミニー」というニュースが伝わって来た。勿論、邦題タイトルロールであるスタンが主演ということで間違いないのだが、一番最初に(上で)書いた通り、本作を精神的に支配しているのはストロングの方だろう。いずれにしても、この2人の仕事ぶりにも感嘆する。

(評価:★3)

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