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[コメント] リアル・ペイン〜心の旅〜(2024/米)

ショパンのピアノ曲が全編に流れる。ポーランドの街並みや風景は、「東側」時代の名残りもあり華やかさには欠けるが、落ち着いた美しさがある。
緑雨

幼馴染の親友のように育った、生まれが3週間しか違わない従兄弟。その性格の違いを印象づけるエピソードやダイアログの重ね方が秀逸。

初対面で集まり数日間を共に過ごすツアーメンバーたち、バックグラウンドや価値観の齟齬が見え隠れしながらも、互いに尊重し合う姿勢を崩さず踏みとどまるところが尊い。

銅像の前での記念撮影などユーモラスなシーンも少なくないが、旅のテーマの重さが常に付き纏う。

そして、マイダネク収容所跡地。今は誰もいないその建物を順に回るだけで、言葉など無くとも重い想念が伝わった。

時折発せられるキーラン・カルキンの激情の吐露に引っ張られ、登場人物の誰もが、そして映画を観ている我々も心が解き放たれていく。

決してドラマティックな映画ではないが、生きていることがどれだけ尊いことなのか、静かに力強く伝えてくれる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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