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[コメント] ゆきてかへらぬ(2025/日)

文芸映画で、中原中也の詩編は少なかったけれど、まあ日常的なセリフで中原と小林の文学性を増補する脚本は優れています。前半の中也と泰子の出会い、同棲生活、そして小林と巡り合い、出て行くまでがとても秀逸でした。二人の愛の葛藤がなかなかいい。
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でも小林と同居してからの不思議な三角関係がどうも世間市井によくある普通の、男と女のよくある愛欲関係に思え、それほど新鮮なものは感じませんでした。こういう男女の極限状態で中也の詩が極められていたとは描かれていず、この段階で中也は普通の男に成り下がっていると思う。私にとっては特に見るべきものはない。

俳優陣では、 木戸大聖は中也に風貌が似ているものの、やはり内面的演技が物足りない。         言葉で発する詩編の心情が出ていない。広瀬は正攻法的な明瞭美女なので、立派過ぎてはいないだろうか、濡れた感じの情念が足りないかなと思った。漁夫の利で得をしているのが、いつもよりまともに演技付けをしていた岡田。好き心あるあの文人の小林をさらりと演技していた。

ということで、中也ファンとしては、期待していた分だけに少々辛い評価になりました。

(評価:★3)

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