[コメント] 機動警察パトレイバー2 the Movie(1993/日)
自己の戦争論を仮想の状況を作ってシュミレーションする。その仮想の表現に(規制的なことは別として)際限を考慮する必要がないのは、やはりアニメーションの強みだと思う。
この映画のなかには、ほとんど監督の思想しかない。映像や設定、話の展開も、ある意味論理を展開するためのサンプルでありスライドみたいなものである。ただその姿勢に妥協がほとんどないことには敬意を払いたい。
何をもって平和というのか、その平和は幻想なのではないのか、という問いを投げかけている。確かに現在置かれている状況の中では、その警鐘はかなり現実味を帯びてくる。ただそれ自体は過去に遡って再三問いかけられてきた事なので、新味のある切り口ではないのも事実。欲を言えばその状況を認識すべきってことの、さらにもう一歩先をいって欲しかったような・・・。
アニメーションはリアルという点で実写には劣るってことが必ずしも言い切れないことを、この映像や音響は証明しているような気がする。いかに仮想を追体験させるか、いかに受け手の潜在的な記憶を刺激するか。現実(実写)と現実味はあくまで別物。現実以上に現実らしく表現することは、実写もアニメもセンスとテクニックがモノをいうのである。
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