[コメント] DOOR III(1996/日)
女優をまともに撮った初めての黒沢作品(確かに『ドレミファ娘の血は騒ぐ』の洞口依子は魅力的でしたが、ぞんざいな演出を受けた彼女が勝手に輝いたと云うのが適当に思われます)。黒沢らしい驚きの演出が次々に繰り出されるが、その恐怖にエロティシズムが絡んでくるのは珍しい。小中千昭の色か。傑作。
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映画を見終った人むけのレビューです。
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それにしても、二枚目と云ってもよいはずの中沢昭泰がどうしてここまで不気味なのか。その日本人離れした異貌は一時期のマイケル・ジャクソンのようでもある。中沢やその取巻き(?)の女たちはもちろん生きた人間であるのだけれども、その見せ方はむしろ「心霊演出」と云うべきものである。『奴らは今夜もやってきた』(オムニバス『危ない話』)や『スウィートホーム』『地獄の警備員』で繰り広げられていたものをそれと区別して「モンスター演出」と呼ぶならば、これが黒沢清による本格的な心霊演出のはしりであるはずだが、その恐怖の大きさは既に二〇〇一年のTV作品『花子さん』と並んで彼のフィルモグラフィでもトップクラスだ。後の『CURE』『カリスマ』を導く王位継承譚であることが明らかになる結末部にも戦慄を禁じ得ない。
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