[コメント] ぼくの伯父さん(1958/仏=伊)
素晴らしい哉、アルペル邸の造型!前作と打って変わり、これはまるでSF映画だ。装置ばかりでなく、キャラも良く立っていて、『モダンタイムス』的機械時代風刺と、子供たちを上手に使ったフランス郊外の描写が、違和感の無い連続性を持って脇腹をくすぐる。ピアノ、アコーディオン、ヴァイブ、バンジョーと変奏される、メロディーも印象的。
序盤、迷路みたいに奇天烈な階廊を経て自室を向かうユロ氏を捉える長廻しで味わえる映画的昂奮!深夜、アルペル邸に忍び込むユロ氏を見つめる「家の目」の動き愛らしさ!突然邸に遣って来て、どかっと椅子に座り、義弟に「サ・バ?」と訊ねる、その間の素晴らしさ!
私は子供の頃、極度の乗り物嫌いで、自動車やバス酔いするのは勿論、山梨の田舎と母の実家のある東京とを往復する電車でさえ、苦痛で仕方が無かった。
そんな私が、気を紛らわすために思いついたのが、車窓を流れる景色の中に、一人の「忍者」をイメージして、横スクロールのアクションゲーム、例えばスーパーマリオブラザーズ、みたく、木や建物や壁や看板などをジャンプして避けていく、屋根から屋根に飛び移っていく、という「遊び」。単純な割に結構面白く、かなり効果的でもあったので、中央本線に乗るときは中学を卒業するくらいまで、殆ど毎回、やっていたような気がする。
いや、こんな話、映画とは直接的は何の関係もないんだけど、ただタチの映画を立て続けで観てる内に急に、ほんと10年ぶりくらいに突然、記憶が蘇った、というと大袈裟だけど、ふっと思い出されたんだよね。
きっとタチって、子供なんだ、勿論、いい意味で。センスの良い自由人とか、マイペースなのんびり屋とか、それもそうかも知れないんだけど、俺にとって彼は、”子供の眼と発想をなくしてない遊びの名人”。これが一番ピッタリしっくり来るなぁ。
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