[コメント] 元禄忠臣蔵・前編(1941/日)
『護れ、興亜の岡の家』この時代「護れ〜」という大合唱が起きていた真っ最中。聞き取りにくかった理由の根本は、その時代にあったのではないだろうか。
マジで聞き取り憎かった…がしかし、この聞き取りにくさは軍部による検閲を経て妨害された色が濃いと感じる。意図的とも言える妨害なので、もう一度見る機会があるならよく見て欲しい。劣化云々ではないと思う。何故なら後編は“明瞭に”聞こえるからだ。
これが1943年、つまり『無法松の一生』と同時期ぐらいだとカットされていたのだと思うと、これはギリギリの境目だったのだろう。そこに何か映画人(特に前進座の二大巨頭)の強い意地が感じられる。後編のレビューにその事を書き込むが、その時代にありながら必死に、今ある映画根性を工夫して見せようとした映画人達の熱い魂の雄叫びが聞こえてくるようであった。
そして、微妙に日本軍賛歌とアンチ日本軍とも受け取れる「忠臣蔵」を持ってきた溝口健二らの頭の良さも光っているのは言うまでもない。“元禄”を付けたところに味がある。
2002/12/14
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