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[コメント] 元禄忠臣蔵・後編(1942/日)

前・後編あわせて考えると、非常に中途半端。(以下やや「前編」のネタバレあり)[Video]
Yasu

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







何よりまず構成に問題がある。そもそも前編はいきなり松の廊下での刃傷シーンから始まり、いかにして内匠頭が上野介に憎しみを覚えるに至ったかという描写が全くない。さらにこの後編では、何と「忠臣蔵」の一番の山場であるはずの討ち入りシーンがない(瑶泉院が受け取る手紙だけで説明されている)。良く言えば異色だが、悪く言えば手抜きに他ならない。

おまけに討ち入りの後、さらに1時間ばかり引き延ばして切腹までの赤穂浪士たちの姿を描いているが、冗長な観が否めない。浪士の隠し芸大会なんか見せられても、何が面白いものか。

だいたい溝口健二は、既にこの頃から人物の動きがあるシーンを長回しで撮るのを得意としていたはずである。こんな侍どもが「ははー」と言いながらじっと頭を下げたままのシーンばかりの作品は、溝口には合わない。

まあ、戦時中で彼自身がやりたい題材ができなかったために仕方なくやった仕事だろうから、あまりけなすのもどうかとは思うが。

(評価:★2)

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