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[コメント] Focus(1996/日)

意外なところから登場した傑作と受け取りたい(レビューはラストに言及)
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







構成の作品という側面がやはり目立つ。カメラがそのままテレビクルーのカメラと最後まで同一化し、そのため、アパートのシーンなどに代表されるように、長回しのカットが連続する。設定による制約のための執拗な長回しも、緊張感を持続させたという意味である程度の成功をみた。

しかし、それよりもこの作品を際立たせたのは、浅野忠信の存在感に色濃く体現された、突発的な暴力衝動や、ささくれだった空気ではないだろうか。バスのなかでの暴力沙汰が、その後の展開の予兆として影をおとしていく展開に惹かれた。80パーセント『気狂いピエロ』へのオマージュのような終わらせ方は、爽快というと少しニュアンスが違うが、微妙な味わいを残したと思う。(安易な模倣の匂いもするが…)

本作の雰囲気は監督井坂聡の持ち味なのかと思いきや、どうも彼は、設定を制約して描くのが好きなだけで、その後の彼の作品に本作のようなテイストが登場することはない。とすると、主演浅野忠信の、演技というよりも佇まいが本作を支えたのではないだろうか。個人的には推したい作品。

(評価:★4)

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