[コメント] 人間蒸発(1967/日)
あらゆるフェイクドキュメンタリーの祖であるばかりか、あらゆるリアリティショーの祖でもある。
結末は今平の師匠・川島雄三の『幕末太陽傳』(1957)の「幻のエンディング」だよな。師匠の弔い合戦だ。
ドキュメンタリー制作というのは大変なものだが、今村昌平のような無尽蔵のスタミナ、剛腕と傲慢、閃きと身体性、開き直りの押し込み強盗のような作り手が、マジでまったく何の見通しもない雲を掴むような企画に没頭すると、このような怪物的作品ができてしまう。凄いのは確かだ、間違いない。でも褒める気にも好きにもなれない。
今村昌平へのオレの反感というものは、嘘をつく作家だからではない。むしろ今平は本当のことしか言わない作家だ。オレが思うのは、いくら本当のことだからって、お金払ったお客さんにこんなもの叩きつけるんですか酷くない? ということだ。オレがよく富野由悠季を今平が入ってると評するのも同じ理由。
60年後に観る「人間蒸発」には、当時と違う価値も生じている。当時の市井の日本人のリアルな喋りがドッサリ収録されている点だ。日本人、こんなに滑舌よく早口で理屈っぽく喋っていたんだ。「エピソード」なんて言葉をこの頃もう使ってたんだな、などと発見多し。
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