[コメント] 楢山節考(1983/日)
剥き出しの「生」。
以前から観たかったが機会に恵まれず、先日、偶然のようにビデオ店で見かけたので手に取った。
参った。カンヌ受賞作ということでそれなりに期待はしていたが、まったく想像を裏切る展開。唯一予想通りだったのは、この作品が確かに凄い作品だったということ。シンプルな物語が淡々と進行していくのだが、随所に見られる言葉の重さ、迫真の演技が作品全体を骨太にしている。登場人物や舞台の寒村は一見して醜悪さを感じさせるが、それだけに、不必要なものに邪魔されることのない剥き出しの「生」が観る者を圧倒する。
捨てられる老婆が躊躇する主人公の背を「ポン」と押す場面。押された主人公が軽くよろめいた一瞬、この上ない美しさとともに、観る者の胸を突き上げる感動があった。
この作品はエンターテイメントではない。まさに生の記録である。抽象的な批評で申し訳ないが、おそらく私はもう二度とこの作品を観ることはないだろう。なぜなら、生とは一瞬の美であり、一瞬の感動に拠るものであるから。
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