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[コメント] 豚と軍艦(1961/日)

基地からこぼれるドルに群がる有象無象。長く伸びたアメリカの巨大な影の中で、「豚」以外の生き方とはあり得るのだろうか?公開から半世紀、今もこの映画は色褪せていない―

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







街を出て行った春子に行き先はあったのだろうか?日本列島から東南アジアに至る広大な地域が、この基地の街同様、アメリカの影の下にあるというのに。

しかし、彼女は恋人の死によって一つの啓示を得たようにも見える。生きることとは所詮豚のような行為なのだ。戦って死んだ者だけが輝きを得ることが出来る。彼女にとって欣太がそうであるように。欣太にとって戦死した兄がそうであったように。街を出た彼女におそらく楽な人生は待っていなかっただろう。しかし、敵わないなりに、彼女は彼女の戦いを戦って死んだのだろう。

多くの人に観られるべき映画だと思うが、あまり一般には知られていないようなのは残念だ。

(評価:★4)

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