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[コメント] おもいでの夏(1971/米)

ONLY ONE.
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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★4.5

アラバマ物語』の監督の作品なのでどぎつい描写は一切ないことが予想でき観賞に集中できた。思惑通り上品な小品の佳作だった。同様のテーマを扱った『青い体験』(性欲丸出し・露出あり、)とは正反対に位置するだろう。ミシェル・ルグランの音楽もノスタルジーを前面に押し出したメロディに仕上がっている。

ティーンズの性が堂々と描かれているのに、明らかにB級作品に終わっておらず一線を画している。それは最大級の上品さと繊細さによるものだろう。少年の感情が機微に至るまでさりげなく散りばめられている。例えば終盤ドロシーと踊ると同時に流す涙。また、事後のなんともいえない表情。

同時に、この作品は思い出的美しさに満ち溢れている。ドロシーはあたかも女神のような威儀と美貌を享持した女性として描かれている。私はそれほどジェニファー・オニールが美人だとは感じないが、本作に於ける彼女は確かに美しい以外の何者でもない。女性をより美しく描く成功例だろう。

思い出的美しさは他にもある。打ち寄せる波にきらめく陽光。スローモーションやピントをずらした映像が追憶に拍車を掛ける。

ノスタルジー色が強いが笑いの要素も多く時にくすりとさせられた。薬屋で避妊具を買うシーンは緊張感に溢れている。映画であのシーンほど緊張したのは実に久しぶりだった。

「人生の中の本の小さな出来事」、それを彼は一生胸にしまっているのだろう。

(評価:★4)

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