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[コメント] ヘアー(1979/米)

オクラホマの朝の牧場の風景から始まる。馬とフォードのピックアップトラック。主人公のジョン・サヴェージが入隊するために旅立つ場面だ。走るバスの窓から撮ったカットが、ちょっと、ロビー・ミューラー風で、これは良い映画かも、と期待させる。
ゑぎ

 そして、すぐにセントラルパークでの代表曲「Aquarius」の場面になるのでテンションが上がる良い序盤なのだ。また、セントラルパークでも、馬が活躍する。騎馬警官二騎による馬場馬術の歩様。ヒロインのビヴァリー・ダンジェロの登場も乗馬シーンだし、サヴェージが馬の曲乗りを披露するカットもある(スタンドインか?)。

 サヴェージは入隊前に、NY観光をしたかったのだが、ホームレス?の若者たち、トリート・ウィリアムズらと知り合い、ちょっとした冒険を体験する。それは、ダンジェロへのアタックだ。彼女は大金持ちのお嬢さんで、まずは、パーティ会場に、皆で勝手に侵入して、ウィリアムズが長テーブルの上で唄い踊るシーン。こゝはなかなか可笑しかった。「彼はベトナムであたなを守る」「彼は恋をした」と云う。あと、夜、全裸になって公園の池で泳ぐ場面では、ダンジェロもちゃんと胸を見せる。

 ミュージカルナンバーでは、監獄で唄われるタイトル曲「Hair」はイマイチな扱いだ。ダンジェロやウィリアムズが、サヴェージに会いにネバダの軍施設(訓練所)へ向かう車中の場面での「Good Morning Starshine」は、綺麗な曲。ラストの有名曲「Let the Sunshine In」は、流石に耳について離れなくなる。

 軍施設の検問所でのMPとのやりとり、ダンジェロが色仕掛けで軍服を入手する手管の描写なども面白い。サヴェージを皆のところに連れて来るために、ウィリアムズが髪を切って軍人に成りすまし、基地へ入る。結局、髪の代わりに手に入れたものは何だったか、という強烈なアイロニー、ブラックユーモアで終わるのだ。こんな終わり方だと思ってもみなかったので、これには驚いた。全体に、ウィリアムズらヒッピーの価値観を描くことで、ユーモラスな場面を繋ぐ面白い映画だが、少々散漫な出来でもある。

#軍施設の指揮官として、ニコラス・レイが顔を見せる。

(評価:★3)

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