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[コメント] 永遠の人(1961/日)

それはですなー、それはですなー、
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 表面的なお茶らけを廃し、作劇という行為そのものの滑稽さを抽出する狙いの、真剣で斬新なギャグ映画かと思った。登場人物が型通りで、平気で紋切り型の台詞を言う。物語が突拍子もなく展開する。こういう作劇スタイルも、登場人物が善人ばかりであれば、まだ成立する。だがこの作品の人物は意地の悪いのばかりなので、わざとらしさが露骨に目立つのだ。だいたい、熊本・阿蘇の雄大な自然に、フラメンコ・ギターとカスタネットの音楽を被せるというセンスがお笑いだ。西部劇風な乾いた犯罪映画とかならともかく、繰り広げられるのは大和民族独特のドロドロとした人情劇なので、ギャグ映画じゃないと思うほうがどうかしている。

 しかし、ギャグ映画じゃないのだ。数十年に及ぶ身近な人間同士の感情のすれ違いを、ときどきの時代の世相を取り入れながら、最後には和解まで導くという、崇高で誠実な芸術映画なのだ。最後の章では、人の死を目前に、お互いが長年抱えていた真情を吐露し合う。言ってる中身は稚拙だが、そのまとめ方は見事なのだ。この第5章は、ギターも控え目となり、カスタネットは鳴り止む。いまいち確信はないけど、たぶん、この映画はギャグ映画じゃない。

 もしギャグ映画だったとしたら、その笑いを理解しない私が未熟なのだ。

70/100(08/05/04見)

(評価:★3)

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