ステディカムの無い時代に何て見事な手持ちの移動ショットだ。井川と矢野宣（第一組合長）との川の中での対決も凄い望遠撮影。ラストの無人の集落の道を早い横移動で子供が走るのを捕捉したカットもインパクトが大きい。その他、いくつかズーミングも使われるが、全然いやらしくない。納得性のある使い方なのだ。やっぱり映画は撮影だ（という言葉には演出も美術も入っているが）。

　ただし、幽霊の描き方は、もっと面白くできそうに思った。淡泊過ぎる。

　佐々木は途中からずっとスリップ姿。観世栄夫の巡査との濡れ場もあるが、ヌードはなし。別に見たくはないのだが、前半から、佐々木のヌードがあるかどうかは、ずっと気になっていた。『ゴンドラ』（1987年、伊藤智生監督作）の入浴シーンでは、あっけらかんと胸を見せていたのだから。