[コメント] 非行少女(1963/日)
夜半燃え上がる鶏小屋から火ダルマで遁走する鶏が与える悲壮感もの凄く、今では観られない鬼畜生ショット、和泉雅子より可哀そうで本編が霞んでしまう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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洋邦問わず当時山ほど撮られた非行少女もの。本作ならではの特色を求めれば、児童相談所の更生施設を真ん中に置いたことだろう。清水宏の諸作のように施設は肯定的に描かれる。和泉は入園前と入園後に行動ががらりと変わる。園長の河上信夫の運営に係る泥臭い手練手管など興味深い。してこの施設が魅力的だったかと云うと、それほど深掘りされず全般的なエピソードの羅列の一環に留まってしまう。ここが何か惜しいなあと思う。
和泉は中学生(15歳の設定)にはとても見えず、その豊満な体躯が児相施設の貧相な体の娘たちのリアルさから浮いてしまっている。可愛すぎるし、泣く演技は下手で困る。浜村純は類型的。印象に残るのは浜田光夫、この恋人も職を転々として養豚のハウトゥ本など読まされたあげく金子信雄に頭下げる羽目になる惨めな役だが、彼らしいユーモアが飄々として好ましかった。沢村貞子の意地悪ばあさんは絶好調。
演出力もここでは大したことがない。和泉は児相に来た途端に、それまで見られなかった激情をマジックミラー越しに示すのだが、ここなど不自然、施設の役割説明にしかなっていない。ラジオやテレビを状況とシンクロさせる手法が何度か用いられるが、唐突で深みがなく上っ面な印象を強めてしまっている。山陰だけでなく金沢でも「だら」を馬鹿の意味で使うというのが発見。
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