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[コメント] 水で書かれた物語(1965/日)

母親のつくった暗闇をひたすら走り続ける主人公。どこにでもある話。
夢ギドラ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一作品に少年の気持ちを詰め込みすぎて、わけが分からなくなっている感が否めない本作ですが、 それを加味しても素晴らしい出来だと思います。

主人公の少年は、母親によって、望んでいない性的なトラウマを背負います。 両親のラブシーンの目撃や、母親が愛人の前では、ただの女であること等に、 異性との関係性を歪められていきます。

それでも、泣きも叫びもせず、母親を糾弾することもしません。 少年は、ただじっと息を潜めています。

その暗い沈黙の中には、数え切れない思いが詰まっているように見え、 少年の気持ちを際立たせます。

大人になり、自分の気持ちをポツリポツリと口に出来るようになるところから、 かけがえの無いものの存在に気づくところまでは圧巻。

かけがえの無いものもまた女であり、いつか母親になる存在です。

たった10分間の親の快楽のために、子供が80年も悩むことに、人間である辛さを感じました。 しかし、この辛さというのは、どこの家庭にも起き得る悲劇だけに、もっと悲しい!

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山拾得

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