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[コメント] 他人の顔(1966/日)

こんな時代だからこそ、あらためて問われるべき「自己存在」。
ピカレスク

共同体が崩壊し、「自己」の帰属する集団が曖昧になってしまった高度経済成長期。経済的には豊かだけれど、誰もが一人ぼっちになってしまった…そんな時代に、この作品は作られた。

あれから40年あまりの時が過ぎた。現代を生きる私たちは、新たな孤独に直面している。

ネットやメールで他者と会話し、その考えに反応したりするのも、いわば「仮面」を被っているようなものだ。そのバーチャルな世界で行われるやりとりは、現実世界のそれとはどこか異なっている。 顔が見えない自由…それが一体どこまで許されるのか、ということは私たちにとって非常に切実な問題だ。

その「自由」に歯止めがきかなくなった時、私たちは自分を理解されず、相手も理解することができない、という深い孤独に突き落とされてしまうだろう。 主人公、「男」のように。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)TOMIMORI[*]

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