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[コメント] ナイト・オン・ザ・プラネット(1991/米)

いま観たら、なかなかウヒウヒ豪華キャストによるショートコント「タクシー」。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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「ちょっと沙莉を見たかっただけ」でお馴染み『ちょっと思い出しただけ』の元ネタ(?)、渋川清彦の酔客と高岡早紀がジーナ・ローランズだってくらいしか関係なかったけど、せっかく映画館で上映してくれてたので恥ずかしながら初鑑賞。本当は好きじゃないんですよジャームッシュ。最近やっと「単なるオフビートコメディ好きなだけの人では?」と思い始めて、だいぶ理解できるようになりました(笑)

それにこの映画当時の若かりし私は世間知らずで、尊敬する『グロリア』おばさんにも出会ってなかったし、『ベティ・ブルー』も未見だし、『ライフ・イズ・ビューティフル』は未来だし、カウリスマキとの衝撃の出会いもずっと後でした。いま観たら、なんとウヒウヒ豪華キャスト。それだけで楽しかった。豪華俳優によるショートコント「タクシー」。笑えるんだか笑えないんだかオフビートの。

高尚ぶって鑑賞するほどの映画ではない。決して低俗なわけでもないけど。当時38歳の若いジャームッシュが「どうよ、俺って、こんな世界の有名俳優知ってんだぜ」「世界を股にかけて映画撮ってるんだぜ」って鼻にかけてる感じもするけど。

ただ、「オチのないオフビート・ショートコント」と言いながら、映画全体は前向きな印象があります。各ドラマは同じ日の同じ時間でも、西から東へ舞台を移すことで、夜明けに向かっている構成になっている。そんな構成の中で、要所要所で「希望」の光を(少しだけ)灯す。ま、ロベルト・ベニーニのトークショーは別物ですが。まだピッチピチのウィノナ・ライダーもベアトリス・ダルもマッティ・ペロンパーも、みんな前を向いて生きている。同じ地球の夜空の下で。

余談

この時代、「世界は一つ」「地球は一つ」というオー!ガッチャマン的なことが声高に謳われていたように思います。例えば、バンド・エイドとか「ウィ・アー・ザ・ワールド」とか。もっともザ・スミスは「無職の音楽ファンから金を巻き上げてる」とバンド・エイド批判してるけどね。いや、絆創膏のことじゃなくて。たぶん、SDGsとか言ってる今の時代よりも世界規模で「地球は一つなんだ」「同じ空の下で人々は暮らしているんだ」ということが叫ばれていたような気がします。世界の飢餓や貧困に目が向けられ、それを救おうという機運が生まれた時代。ネットもスマホもなかったのに。

そういや、この映画で、かろうじて一部の金持ちが携帯電話を持ち始めた時代であることが分かりますね。ジーナ・ローランズ、スミス&ウェッソンのリボルバー持ってたはずなのに。

(2022.02.27 アップリンク吉祥寺にて鑑賞)

(評価:★4)

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