本物の脱獄囚が演じたとあとから聞いてびっくりしたんだけれど、彼は見たところたいへんインテリで頭の回転が速く、クールな判断力と状況把握能力を備えていて、しかも勇敢で体力もある。なんと言うか、上司にしたい人ナンバーワンなのだ。彼が実際（劇中じゃなく実際）どんな罪で収監されたのか知らないけれど、普通に働いても成功するんだろうなぁと、そんなことを漠然と思った。

　映画はもう、隅々まで文句なく面白く、特に書くことがないくらい。特に好きなシーンは外から刑務所を眺める場面。あそこの、「このまま逃げちゃえよ？え？逃げちゃうの？逃げないの？」的な緊張感には胃がキリキリと痛んで幸せな気分になった。ラストのミラーくるりも実に鮮やか。こんな面白い映画に出会えたのもシネスケのおかげで、まことにありがとうございますと言いたい。