[コメント] レナードの朝(1990/米)
素晴らしい映画です。「お涙頂戴」と評してしまうならば残念ながら見方が甘いと言うほかありません。
とにかく愛にあふれた映画だと思う。ストーリーはとても哀しいのだけどレナードを取り巻く人達の優しさが救いになっている。本作でデ・ニーロの病気の演技に目を奪われていてはいけない。彼の演技の素晴らしさは眠りから目覚め、眩しそうに、そして実に楽しそうに世界を眺める表情であり、失われつつある意識の中で懸命に生きようとする姿である。またロビンの非常にナイーブで押さえた演技と控えめなユーモアは他の出演作からは想像も出来ないほど素晴らしい。ペニー・マーシャルの演出も全てのカットに意味があって無駄がなく、カメラワークも登場人物の視点をとらえた印象的なものが多く優れている。更に劇中人物が聴いてる音楽をそのままBGMとする技法もちょっとしたミュージカルのようで小洒落ている。生きていることの意味?それは眩しすぎる太陽の光であったり、ダンスを踊ることだったり、街のざわめきだったり、日常の中で繰り返される些細な発見と感動の積み重ねに過ぎない。頭でっかちになるのではなく感性を研ぎ澄ませば生きることの歓びはそこここに落ちているものなのである。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。