[コメント] 燃えつきた地図(1968/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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勝プロ製作第2作目だそうで、1作目は座頭市の中でも少し異色の『牢破り』。監督は赤いセシル・B・デミルこと山本薩夫。そして第2作の本作は勅使河原宏。大映スター勝新はプログラム・ピクチャーとは違う「起承転結に囚われない、分らない映画を作りたい」と思っていたそうです。
そこに勅使河原宏が即興演出で応えるんですな。見た感じ、ほとんどロケなんじゃないかと思うんですよ。 オールロケで即興演出。ヌーヴェルヴァーグの手法です。 「絵コンテを描いたりしなくても演出できることを知った」と後に本人も言っているそうですが、勝新はこれで即興演出を覚えてしまう。 これが後々、自身が監督する座頭市や伝説の不評ドラマ「警視-K」、あるいは黒澤明『影武者』降板劇に繋がったのですよ、きっと。
で、この映画、いろんなことが噛み合ってない印象、というのが私の率直な感想です。
そもそも勝新が“闇に飲まれていく”ようには見えない。彼なら自力でなんとかしちゃいそう。これは後に観た者の不幸かもしれませんが、勝新って豪放磊落なイメージじゃないですか。
あと、この話は「不条理劇」なんだと思うんですが、ロケで撮影した街にリアルな“熱”があるんです。新宿の南口辺りなんか特に。これが冷え冷えとした空気感だったら、まだ印象が違ったかもしれない。 通りすがりの女を枯れ葉で埋めるイメージシーンがありますが、これはそうした空気感(主人公の心象風景)の一つだと思います。ただ、そんなに効果的とも思えない。これがもっと「冷たい印象」があって、こうしたイメージが何度かあったら、だいぶ変わっていたと思うんです。
印象としては現代音楽みたい。それは永田雅一の意図とも噛み合ってなかったろうと思う。
(17.08.14 ラピュタ阿佐ヶ谷にて鑑賞)
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