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[コメント] 未来世紀ブラジル(1985/英=米)

200人が5点を付けた映画。35年ぶりに再見して私は201人目になる。
pinkmoon

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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当時、テリーギリアムは大学生の映画愛好家の間でひときわ持てはやされたアイコンだった。 「ギリアム良いよね」なんて言うだけで何となくセンス良く思われたものだ。 タイトル、世界観、音楽、モンティパイソン、デニーロの使い方・・

あれから35年、一通り縦社会や官僚主義を体感した今、改めて観ると、いや、あながち間違っていないというか、皮肉にもテリーギリアムが比喩的に描いた世界とそう遠くないところにいる気がした。 情報やルールが人を支配し、貧富の差は大きく、人はみんなモニターしている。

サムとジャックは両者とも自分だ。出世のために子供の面倒を見ながら拷問を繰り返し、それでも正気を保とうとしているジャック。サムは希望で自分の内なる投影だが弱くて現実味がない。畳みかける悪夢の果てに行き着いた安全と安心。それすらも夢だ。 共感してもらえないかもしれないが、私には『エターナル・サンシャイン』と同じ叙情を感じる。

一見救いのないこの絶望的な話も、ブラジルの音楽が重なることによってメッセージが変わらないか。 体制や暴力が人の自由を奪うことができても、人間の希望や想像力は誰にも覆すことができないほど強くて逞しいものだ。 あれから35年たった私には改めて悲しくもそう届いた。

(評価:★5)

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