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[コメント] 新・男はつらいよ(1970/日)

寅さんだけでなく、おいちゃんもおばちゃんも皆、「馬鹿だねえ」な感じの、ドタバタ人情喜劇の趣き。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 峠の茶屋での食事代?が120円。ハワイ旅行が一人30万(ずいぶん高えな)。寅が名古屋競馬場で当てたワゴンタイガーの特券が18万。名古屋から柴又までのタクシー代が2万9千円。いま(2018年)の購買力平価の10倍とまではいかない、せいぜい5〜6倍とすると、登の勤める旅行社の社長はハワイ旅行代3人分、500万円ほどを持ち逃げした計算か。ちょっとしょぼいか。

 いずれにしても、悪いのは100%この犯罪者の社長なのに、それは災難にでもあったと思うことになっちゃって、その悪が追及されることはまったくない。これが、当時の庶民の当たり前の感覚なのか、映画のためにする設定なのかが不明だ。まあ、当たり前ということはないか。財津一郎の泥棒もそうだが、本作は犯罪者や犯罪に超優しい。

 一方、とら屋に集う面々が、寅だけでなく、おいちゃんもおばちゃんも(タコ社長はいつもそうだが)「馬鹿だねえ」と感じさせる。そればかりか、帝釈天界隈の人たちも皆同類。このあたりは、シリーズが続くにつれ、否応なく徐々に触れられなくなっていったのか。寄せ集めドタバタ喜劇の馬鹿馬鹿しい笑いに満ち、多いに楽しませていただいたが、確かにやはり、後に定着したシリーズの路線とは、雰囲気がやや異なる印象。

80/100(18/12/31記)

(評価:★4)

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