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[コメント] 男はつらいよ 寅次郎頑張れ!(1977/日)

大竹しのぶさんが秋田出身の娘役。若いのに、自然な存在感が凄い。でも、特に色のないところが、東京出身なんだろうなあと思う。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 いつもと違うとこ。

 冒頭の夢。いつもは、荒唐無稽な異世界が舞台。時代劇だったり西部劇だったり、鞍馬天狗(前作)になったりジョーズと闘う船長になったり。寅の見る夢とは言いながら、スタッフの余興か観客サービスかという感じだ。今回は、寅が天蓋つきのベッドで寝ている。にわかに成金と化したとら屋に集う面々が、寅のみすぼらしい身なりをあざけり、寅の大事な帽子とトランクケースを捨てようとする。いつも温かく寅を迎え入れてくれるようでいて、実は、寅の旅回りの売人という境遇を根本的なところで拒絶しているとら屋の面々という、寅の深層心理が表れたような、本格的な夢だった。前作で、一度目の短いご帰還が、鯉幟のすれ違いから始まって、わりと辛辣な別れ方だった。案外、直近のエピソードが次作以降の夢に反映していると見ることができるのかもしれない。

 寅の柴又へのご帰還が二度あるのはいつもだが、今回は一度目が長く滞在し、二度目が短いという、いつもとは逆のパターン。

 とら屋2階が大爆発。この手の“アクション”を寅さんに期待してないので、意外な迫力にちょっと興奮。

 一人語りの寅語り。関係者の間では「寅のアリア」と呼ばれるらしいが、とら屋の茶の間で皆を前にして披露されるのが定番。今回は、とら屋のに似た茶の間ではあったが、独りで語り、独りで悦に入っている。「・・・なんて言われたら、たまんねえなあ、チクショウ!」 これはこれで結構おかしい。

 二度目の帰還での、二度目のさくらとの別れ。柴又駅が最多頻度で、でなければとら屋の前か。今回は、線路脇のさくらのアパートの前。いつもの寂寥感ともやや違う感じ。でも、映画における別れのシーンは、やっぱ鉄路と相性がいいのかしら。

   ☆  ☆  ☆

 マドンナの藤村志保さん。僕はお綺麗な方だったと思います。寅の善意は喜んで受け止めつつも、それが特別な好意によるものだとは気づかない。ままあるパターンで、それは結局のところ、寅が今作でも中村雅俊に施した恋愛指南に自ら反して、その気持ちを言葉にして伝えてないからです。でも、もっとも寅さんっぽいというか、話の落ち着きが良いパターンとして定着しつつあるのかなと思いました。

 回により、話が寸断したり、前半と後半で分断したように感じさせられることもある寅さんですが、今作は全体の流れがスムーズだったように思います。

80/100(19/03/02見)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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