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[コメント] 男はつらいよ 寅次郎春の夢(1979/日)

賢者寅次郎疲弊して日米人情合戦終わる。
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







サンフランシスコの夢はそのまま今回はアメリカ編ということを示す。

すでに定番のぶどうみやげ事件。俺はいつも間が悪いなあ、で済まないのかと思う。香川京子で出会って豹変する寅。相変わらずこれも露骨すぎてよくわからん。

マイケル・ジョーダンが賢者として隠居した寅の写し身なのは明白。寅の恋愛が成就しないのは、裏マドンナさくらが存在しているからで、毎回登場するマドンナはさくらの写し身である。今回はこの写し身寅のジョーダンが裏マドンナに愛を告白する、という構成となっている。そのことをさくらは寅に報告する。この時のジョーダンを許す寅の賢者ぶりは表向き異常。だが自分を許しているんだから当然だし、ヒロシに言えないことを寅に伝えることによって、寅の真のマドンナはさくらであることがはっきりわかる。というなかなか手の込んだ構成になっている。

だから、さくらが寅に愛想を尽かし、もうおにいちゃんとは家族の縁を切ります、と明言すれば、寅はマドンナと所帯を持たざるを得ない。それがどんないばらの道でも。そういかせないようにこのシリーズは続くのだろう。たぶん。寅は装置として狂言まわしを続ければいい。今回のジョーダンや前回の武田鉄矢やその他の写し身たる寅がサブストーリーの人情物を展開していくであろう。(これは今のところの私の仮説。どうなっているかは終わりまでみなければわからない)

毎回登場するマドンナの恐るべき鈍感さ(これは寅に対する無意識の悪意である)はまた作者の女性にたいする悪意を表しているように見える。今回はマドンナさくらにはっきりと拒絶させ、寅との共犯関係を示した作品として興味深い。

(評価:★3)

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