[コメント] 男はつらいよ 寅次郎紙風船(1981/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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煙草を吸う女性、ダメなんだよなあとか。死んだ夫を悪く言うなよ(しかもまだ1カ月)、とか。
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柴又駅前で、光江(音無美紀子)は寅の気持ちを確かめる。聞き方は、気持ちのないことを確かめるという質問の仕方。寅を見続けてきた者からすると、もし光江がここで、気持ちのあることを前提に聞いてくれていたらなあと。寅も光江の気持ちを、気持ちのないことを聞く質問の仕方で確認しようとするが、これは寅の変えようのないキャラクター設定だから。こういう恋愛的決定場面での寅は、あまりにも頼りなさすぎる。28作目まで観てきて、いまさら「またか」と思う訳ではないし、また「もう飽きた」ということでもないが、こんなシチュエーションをもうあと20作も見せられんのかと思うと、初めて「つらいなぁ」という感情がわいた。その意味で、同窓会のシーンなどで寅の破天荒なヤクザ者の側面が久々に表れ、ドキリとさせられたけれど、かえって寅の駄目人間加減が強調された感。つらいよ。そういう映画だと自ら言っていて、ウソ偽りがあるわけではないけれど。リアルタイムで観ていた方々は、どんな風に受け止めていたのだろう。
正月、とらやを訪ねる光江。この時の音無さんが、実に凛として美しい。寅との間の感情は、すっかりふっきれている風情。あくまで、お世話になったとらやさんへの義理を立てにきた。寅は、この場におりさえしない。男と比べたときの、女の強さよ。そんなことを演出家は描いているのかなと思いました。
あと前作のレビューで書きそびれたが、満男役がプロの子役(吉岡秀隆)に変わっている。さすがに演技が上手く、ストーリーへの絡み方の増してきている感じがある。嬉しい期待感。
75/100(19/5/4見)
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