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[コメント] 男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋(1982/日)

満男が話に絡むこと。今後の新展開に期待感。一方、寅のフラれパターンは案外初めてか。でもなぜ鎌倉。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 冒頭のエピソードは、寅の夢ですらないとの位置づけか。アニメのすずめがふすまの絵に舞い戻るという映像技法にちょっと感動。

 寅は、かがりさん(いしだあゆみ)のことが好きだからこそ、緊張して何も喋れない。好きだからこそ、度胸がつかず満男を同行する。この想いは、かがりさんにはまるで伝わらない。寅が言わないのだから伝わるはずもない。この映画の存続条件からすれば伝わってはいけないのかもしれない。

 しかし、寅の木偶の坊ぶりがあまりに強烈。残念ながら、気持ちの空回りを悟ったかがりさんが自ら身を引いた、とは見えない。やっぱり寅がかがりさんに愛想をつかされたと、見えてしまう。寅が、相手に気のないことに自ら気づく、でもなく、相手には気があるのに自ら身を引く、でもない、寅の駄目男加減が話を壊すパターンがここのところ増えた気がする(音無さんとの前作とか)。にしてもここまで明示的なのは、29作目にして初めてではないか。観てる方がつらいよ。

 片岡仁左衛門(13代)の演技が硬いなぁとか、なんで、結婚の約束を反故にした男の方をではなく、袖にされた女中さんの方を叱り飛ばすのかなぁと思った。

 落ち合い先が鎌倉はあじさい寺な理由も不明。柴又からだと2時間ぐらいかかるんじゃないか。関西出身のいしだに京都弁の女性役を当てたのは良かったと思うが、いしだなら、別にヨコハマでいいじゃん。みたいな。

 笑いあり、ドタバタあり、人情あり。人間国宝の爺さんに別け隔てなく接したり、最初は反目した近ちゃん(柄本明)をすっかり手なずけちゃったりと、寅の人物的魅力あり。まあ面白かった作品。

 寅が珍しく、立板に水系の啖呵売ではなく、普通の会話口調で売をしている。キャラクターの脱皮に見えなくもない。

75/100(19/5/11見)

(評価:★3)

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