どうも手抜きがあるように思う。カバンを持たないで下田に飛び出す寅。旅先にはちゃんとカバンがある。タコ社長が渡した財布から紙幣だけ抜いて渡すさくら。なのに下田での支払いはタコ社長の財布。ちいさなことだが辻褄が合わない。こうした積み重ねとマンネリの進行で興ざめ。あとは役者とロケハンの風景を見るしかない。

今回は美保純、笹野高史。出番は少ないが松居直美（セーラー服だよ）。栗原小巻はインテリ美丈夫という感じで寅と感情交換ができると思わない。式根島は人口500程度。新島の付属品のような離島。さっと表面をなでただけでなんでロケ地に選んだかわからない。有楽町の松竹のビルのパンシーン。アマデウスとグーニーズが上映中。こういうところは悪くない。式根島の露天風呂、美保純のヌードシーンは自然の中の女の裸で古典的な趣があった。眼福眼福。

寅が片思い、マドンナが別の男と結婚、それを支援する寅。という定番の進行はひどくつまらないものになってしまったが、その前段の美保純との道行きはなかなか見られた。美保純が感情のまま突き進む女という設定は生きていると思う。それにしても女の話を聞くだけのいい人の役だけを寅にさせるのは失望の極み。