[コメント] 男はつらいよ 寅次郎物語(1987/日)
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秀吉くん役の子役(伊藤祐一郎)の芝居が異様に硬い。郡山からリュック背負って一人上京する少年なので、もう少しマセガキなキャラでも良かったのではないか。大洋ファンだし(それはいっか)。「次郎物語」ってことで、山田洋次は型にはまった母子物をやろうとしたのか。母子の邂逅シーンなんか、五月みどり(母・ふで役)は膝からスライディングして子どもに縋りついていた。しかし、今どき(30年以上前だが)「ふで」て名の女性、いるんかえ。
本作も寅がマドンナへの好意をさほど示さない。こうすると、フラれた感というか、つらいよ感があまり生じない。シリーズとしてどうなのよという側面はあるが、見る側からすると、見やすい。つらくない。寅が隆子(秋吉久美子)の布団に入るシーンのぎこちなさなんかも、ほとんど笑いに流れていく。まあ、秋吉の「男断ち」に対して寅の「女断ち」って、お前はずーっと女断ちだろ!と、内心皆様同様突っ込みましたが。
秋吉も、現実感に乏しいキャラクターを、無難に過不足なくこなしてた。やはり女優さんとしては巧いのだと思う。関西弁は不自然だったが。元おいちゃんの松村達雄(奈良の耳鼻科医役。秀吉の治療をする)は、本シリーズに出てくるだけで、嬉しい楽しい。
★3つか4つかで迷ったが、そういうときは4つという★4。
いつの間にか高校生になってた満男が寅叔父さんに「人はなんのために生きるのか」と聞く。寅は、質問されたので答えただけではあるが、確かに今後、こんな説教垂れオヤジになっていくのだろうと思わせる一場面ではあった。
80/100(19/7/20見)
※寅が自分自身と自分の職業に厳しい観念を持つことが示される。寅のキャラクターとしてはありだと思う。だが、こんな世の渡り方もあるんだよと、世間というものの懐の広さを示してあげられても良かったのではないか(映画として、そう示しているとも言える)。本シリーズでは夜間高校なんかが取り上げられた回(かもめ歌)もあったのに、満男を兎に角大学へ行かせようとするさくらと博の姿と合わせると、なんか精神的な貧しさを感じる。
※タコ社長が回復(?)してて良かった。おばちゃんの「あんた名前なんだっけ」に笑った(ほんと分からん)。今回は経営の苦しさを言わなかった。とらやも従業員を雇ってたし、やっぱ世の中景気良かったのかな。
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