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[コメント] ゴッドファーザー(1972/米)

バックミラーのない車に乗った男は…
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







……殺される。完全に蛇足な説明だが、バックミラー越しに後ろで構えられた銃口に気づかれないように。考え抜かれた脚本。

ふと、バックミラーのない車は、マフィアのファミリー全体も示唆しているのではないかと思えてきた。運転席につく者は、車中の者の命を預かりながら、車を操っていかなければならない。写真を撮る時、「ゴッドファーザー」は一番前に悠然と構える。一番前にいなければならないのだ。後ろを気にしてはいけない。

そう考えると、バックミラーのない車に乗っているから殺されたのではなく、バックミラーが無いことを気にしたから、その程度の器だから、殺されたのではないか。彼らはひたすら前方のみを気にして生きていかなければならない、そうすることで車中の者の命を守ることができる。「後ろ」を気にした時点で、この世界から消される運命にある。

マイケルは妻に、「殺していない」と断言する。ときに妻が望まないこともしなければならない、愛する妻を、ファミリーを守るために。苦悩などを見せてはいけない。完全に構築された美学。好きか嫌いかを別にして。

これを日本で考えるなら、案外ヤクザ映画以上に、最近の大河ドラマのテーゼに近い(昔の大河はよく知らない)。共通するのは、背景が戦乱の世、ということか。(★3.5)

(評価:★3)

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