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[コメント] 旅愁(1950/米)

ホントに内容はスカスカのメロドラマ観光映画ではある。「September Song」をほゞワンコーラス流して、人物の表情だけを映す場面が2回ある、なんてところでも、そう感じる。しかし、これがたまらない映画的愉悦の溢れた画面なのだ。
ゑぎ

 特に最初の、ナポリの高台にあるレストランのシーン。古いレコードで聞くウォルター・ヒューストンの歌声と、それに聞き入る2人(ジョーン・フォンテインジョセフ・コットン)の場面は、なんて豊かな時間だろう。

 中盤は、フィレンツェを舞台にする場面が続くけれど、家のテラスから街並みが見渡せるロケーション設定で、夜景をバックにしたカットが美しい。また、テラスから建物のドアを抜け、ディゾルブでピアノを弾くフォンテインへ寄っていく移動カットがあったり、ジェシカ・タンディとフォンテインの初対面のシーンでは、それぞれにとても緩やかに(それは、ほとんど分からないぐらいのスピードで)寄っていくドリーカットがあったりで、カメラワークも凝っている。これらのカメラ移動のスピード感は登場人物の感情を体現する、とても的を射た演出なのだ。

#フォンテインは「1938年、16歳からイタリアにいる」との科白あり。1950年の話とすると、28歳という設定か。やはり少々老けて見える。撮影時32歳ぐらい。

(評価:★4)

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