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[コメント] 台風クラブ(1984/日)

ひねくれてるけど、まっすぐな映画。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 決して悪口ではないが、これは学生が作った8ミリ映画を丁寧に作り上げた感じの作品と言うべきだろうか。いろんな才能があっても、どこか表現しきれずにもどかしさを感じるものがある。ただ、「映画をこんなに楽しんで作ってるんだよ」的な作りは、実際大学時代映画研究会で8ミリを回していた身としてはなんだか懐かしいものを感じるものだ。

 話はかなり出鱈目で、冒頭からいきなり長回しで踊りまくる映像が登場したかと思うと、何が何だか?と思ってる内に話は進行していき、狂騒と沈黙が交差している中、突然の死によって終了する。

 しかし、奇妙に見えるところだが、ここにも確かに指向性がある。それはアンビバレンツというキーワードで括れる思春期特有の感情となる。本作でそれは、踊りたいけど踊れない。仲間と一緒にいたいけど一人になりたい。大人を不潔なものと見る一方、そこに確かな憧れを持つと言うこと。何より発散出来ない性欲をどうやって昇華させていくか。相反する感情に責められる中学生らしい感情の爆発を描こうとしてのこと。それは答えが出るものではない。だけど極端な話ではあるが、最後の死という選択は、一つの答えになっているのだ。

 それも含めて哲学的と言うべきか、短絡的と言うべきか。なかなかに面白い内容の作品でもある。青春を哲学的に描く事をここまで衒い無くやってくれると、やはり評価はしたくなるな。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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