[コメント] 誘拐報道(1982/日)
はじめてこの映画を観たのは80年代の地上波テレビ放送で、10代のオレは暗くて嫌な映画だなーと思ったものだ。約30年後、40代後半になってCS放送で再見した。暗くて嫌な映画だなーと思った。
警察、ブン屋、ショーケン(誘拐犯)、その家族、被害者家族、その他登場する勢力すべてに一切の好感が持てないどころか、どいつもこいつもクソ野郎どもで苛々させられ、気が滅入る。当時は知らんが現在のオレは、報道の正義など信じられなくなって久しい。映画に記録された1980年(映画のモデルとなった事件が起きた年)の日本は、21世紀の現代に観ると甚だ野蛮でひたすらしんどい土人の国だ。記者どもの、過酷なブラック仕事にヒロイックになっちゃってひたすら酔いしれてる感じ、オレにもかつてそういう経験があっただけに見てて辛い。おい、そんなもんに意義も正義もねえよと声をかけたくなる。
ショーケンが日本海側の寒村の実家に立ち寄るでしょう。老いた母の漬物食って、なんかの魚かを「むしってえな」とか言って、いい年こいて甘えるんだよな。実にすぐれた場面だと思うんだけど、こういう人間の生々しい実像に迫る映画、イマヘイ(今村昌平)的でホントに嫌いなんだよな。こんな現実をオレに見せんでくれと思う。
小柳ルミ子にヤイヤイ言われながらショーケンが娘(子役時代の高橋かおり)と風呂に入る場面がある。80年代のテレビ放送ではそのまま流していたと記憶するが、現代のCS放送では小学生の娘の全裸に終始ボカシが入っていた。営利誘拐に児童虐待、ネグレクト、不倫カーセックス、夫から他人から妻への性的暴力、首も回らぬ借金、ブン屋による度重なる捜査妨害や人権無視のメディアスクラムなどの描写は放送するくせに、女子小学生のすっぽんぽんにはボカシ。何か重大なことが、大きくズレているような気がするのだ。いや何もオレが女児の裸が見たかったわけではなくてね。いや見たかったけどね。
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