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[コメント] 遥かなる山の呼び声(1980/日)

地道にコツコツ生活する奴を不憫と憐れむ視線が俺はイヤだ。武田鉄矢に同情されたくない。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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自分からは何もしない男に、女が勝手に惚れてくれて、周囲が動いて収まるべきところに収まる。少年時代から漫画雑誌等でよくこんな話を読んできたが、いくつになっても男が抱く妄想だとは言えるかもしれない。だが大人になったら、この手の妄想を人前で肯定することだけは止めたい。

田島耕造(高倉健)という男は、言葉ではおろか態度でさえ、民江(倍賞千恵子)に対する好意など微塵も示さない。だからラストシーンは民江の一人相撲だと思って観ていたが、健さんが目を潤ませていたのでびっくりした。観客の抱く自然な感情(=民江みたいな可愛い女に男なら惚れざるを得ない。と思う)を、無理矢理健さんのキャラクターに重ねさせられそうなことに気づいてゾッとした。

任侠映画やなんかで健さんが演じてきたキャラクターって、木の股から生まれた朴念仁みたいなのばっかり、って訳じゃなかったのに。むしろ酸いも甘いも噛み分けた渡世人、口上言わせりゃ様になる、ってのが基本キャラで、無駄口は一切聞かなくとも、「鈍感」(この映画の中で健さんに向って千恵子がそう言うシーンがある)として描かれることだけは絶対なかったはずだけど。

渥美清がどうでもいい役でちょいと顔を出してたけど、山田洋次ってほんと角を矯めて役者を殺す監督だねえ。

60/100(03/08/22記)

(評価:★2)

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