[コメント] 遥かなる山の呼び声(1980/日)
地道にコツコツ生活する奴を不憫と憐れむ視線が俺はイヤだ。武田鉄矢に同情されたくない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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自分からは何もしない男に、女が勝手に惚れてくれて、周囲が動いて収まるべきところに収まる。少年時代から漫画雑誌等でよくこんな話を読んできたが、いくつになっても男が抱く妄想だとは言えるかもしれない。だが大人になったら、この手の妄想を人前で肯定することだけは止めたい。
田島耕造(高倉健)という男は、言葉ではおろか態度でさえ、民江(倍賞千恵子)に対する好意など微塵も示さない。だからラストシーンは民江の一人相撲だと思って観ていたが、健さんが目を潤ませていたのでびっくりした。観客の抱く自然な感情(=民江みたいな可愛い女に男なら惚れざるを得ない。と思う)を、無理矢理健さんのキャラクターに重ねさせられそうなことに気づいてゾッとした。
任侠映画やなんかで健さんが演じてきたキャラクターって、木の股から生まれた朴念仁みたいなのばっかり、って訳じゃなかったのに。むしろ酸いも甘いも噛み分けた渡世人、口上言わせりゃ様になる、ってのが基本キャラで、無駄口は一切聞かなくとも、「鈍感」(この映画の中で健さんに向って千恵子がそう言うシーンがある)として描かれることだけは絶対なかったはずだけど。
渥美清がどうでもいい役でちょいと顔を出してたけど、山田洋次ってほんと角を矯めて役者を殺す監督だねえ。
60/100(03/08/22記)
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