[コメント] 太陽の子 てだのふあ(1980/日)
ブレッソンも雇わないような素人の大根芝居が140分間垂れ流される拷問。良心的なテーマを云々するレベルにない。良心的なテーマに失礼だ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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沖縄出身の素人を登用するのなら、いっそのこと全員そうすればいい。なまじっか大竹しのぶなど使うから比較してしまうのであり、大竹が主演だったらもう少し何とかなったのではないかと惜しまれるばかり。
素人登用の意味が唯一あったのは、片腕のろくさん(松田豊昌)が沖縄戦を告白する件だろうが、高校生の喧嘩にこれを持ち出すのはいかにも詭弁であり、喧嘩はどっちも悪いという大滝秀治の刑事の発言のほうが正論に聞こえてしまう。もっと観客に訴える設定に出来なかったのか。一事が万事この調子、あらかじめ白黒ついた勧善懲悪の通俗な展開の連発で、説得力のあるプロットは皆無。生真面目な左翼映画の悪い処ばかり出ている。学校貸出用の教育映画のほうがずっと上手いよ。
河原崎長一郎の発病の際にフネフネ流れるコメディ映画っぽい音楽がまた酷く、精神病を揶揄っているようなニュアンスに取れる。いったい何を考えているのか判らない。細部もいい加減で、大空真弓が小銭入れずにピンク電話かけるのはおかしい、など、手抜き箇所を数多論おうと思ったが、もう面倒なので止める。本作で唯一優れているのはコザ騒動の記録フィルム挿入。あと、ほんの断片だが、翻訳付の沖縄民謡の連発は愉しく(「納税祝い」なる歌がいい)、いっそこればかりやってほしかった。「ちゅらさん」は本作が意識されたと思われるが、あの連ドラのほうがずっといい。安藤の三原色強調した意欲的な撮影が空しい。
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