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[コメント] 赫い髪の女(1979/日)

宮下順子がトンネルをバックに手前に歩いてくる。ダンプが後ろから来て、追い抜く際に、宮下が振り返る。こゝで横からのカットに切り替え、さらに、ちょっと引いたカットに繋いでストップし、タイトルイン。この処理もなんてカッコいいんだろう!
ゑぎ

 スコセッシの『グッドフェローズ』のタイトルインと同じぐらいカッコいいんじゃないか。あるいは、要所で挿入されるフラッシュフォワードの使い方は、短く複数回挿まれる、というもので、これにより、なんとも云えない焦燥感を醸し出して、実に効果的だ。

 久しぶりに(というか公開時に見てから約40年ぶりに)見返したのだが、これは面白い!上に書いたタイトルインも全く覚えていなかったのだが、日活ロマンの傑作群の中でも、画面の充実は飛び抜けているのではないだろうか(と云っても、そんなに沢山見ているわけでもないので口幅ったいですが)。

 憂歌団の音楽も効果的だし、関西弁の面白さもよく出ている。中上健次(原作)の世界なので、舞台は和歌山、という設定だが(ラスト近く、阿藤海亜湖の駆け落ちの場面が高台からの俯瞰で、バス停と後ろの列車が映る、力のあるカットだが、バス停には「湯浅町」と書かれている)、中上健次の小説のようなコテコテの和歌山弁は出てこないのが残念だが、それでも皆、よく関西弁を使っている。そして何よりも、交接シーンの質と量、画の強さに圧倒される。日活ロマン畢竟の傑作だ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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