[コメント] サマー・ソルジャー(1972/日)
画面造型や演出といった部分には、ほとんど見どころのない映画だが、何人かの職業俳優のキャラ造型には、言及すべきところがあると思う。まず書くべきは、岩国基地近くのキャバレーのホステスを演じる李礼仙だ。
彼女の登場は、脱走兵ジムの身体を洗っている(行水みたいな)シーンだが、二人ともパンツ一丁という姿。李礼仙のがりがりの裸体とケバケバしいルックスが、気の弱いジムの悲哀をより強調する。
もう一人、ジムとは別の脱走兵を受け入れる、家庭の主婦を黒柳徹子がやっている。夫は小沢昭一。ジムと違ってこの脱走兵は素行が悪く、夜中に酒に酔って黒柳に絡み、レイプ未遂の騒動を起こすのだ。30代後半の黒柳徹子が、しっかり女を演じているのを見ることができるのは、ある意味価値があるだろう。
続いて、ヒッチハイクをするジムを乗せるトラック運転手が加藤武で、これが、気のいい男を上手く演じている。伊豆あたりの「ちょんの間」に、ジムと二人で繰り出すシーンの加藤の表情なんか見事なものだ。ちなみに、このシーンのやり手婆は田中筆子が演じている。ジムの相手(娼婦)を演じる女優の名前も知りたかったが、調べられなかった。この後、ジムは京都でぶらぶらし、泊めてくれる旅館もなかったり、外国船(スウェーデン船籍?)で雇ってもらおうとして断られたりといった、可哀想なシーンが続く。
尚、映画はジムを中心としたフィクション部分(一応、ドキュメンタリータッチ)に、カメラ目線でインタビューに答える体(てい)のマッチョな男性の場面が何度か挿入される(『砲艦サンパブロ』の話をするのが印象的)。ラストは、この男性のジョギングカットだが、この構成も効果的には感じない。カメラ目線で語りかける男の喋りが熱すぎて(暑苦しすぎて?)真面目なのか疑ってしまうのだ(多分、大真面目なのでしょうけれど)。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。