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[コメント] 砂の器(1974/日)

脚本の勝利。松本清張ものでは最も優れていると思います。橋本忍山田洋次が組んだ作品はこれだけではないでしょうか?
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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2012年11月23日

デジタルリマスター版の本作を鑑賞。2005年にリマスターされた作品です。

色々と思いはあるんですけど、この原作が作られたのが1961年で、当時読売新聞に連載れたものなんだそうですね。

そうしますと、ここに出てくる登場人物は、やはり戦後を背負っている。

そして差別も。

このあたりに実にたくみな語り口が秘められているんですね。すごい作品だと今でも思います。

映画で言いますと、丹波哲郎さんの演技が素晴らしい。とても素晴らしい。

どうも晩年の霊魂とかなんとか、そんなイメージがつきまといますが、このころの彼はもっとも役者として油が乗っている時期ではないでしょうかね。

ひとつひとつの演技が自然でいいんですよ。大俳優ですね。

それからリマスターされて明らかによみがえったことは、放浪する親子の背景の四季でしょう。これは相当な撮影日数を要する映画でしょうね。

厳冬、春、真夏、その四季の彩りが見事に映像化されていました。

私の記憶からだと、1977年にテレビドラマとして放映されたバージョンが思い浮かぶのですが、あちらの和賀英良役は田村正和さんでした。

和賀英良の父親代わりの警察官が映画館で和賀英良を偶然見つけます。映画では映画館に飾られている写真でしたが、確かテレビ版では、映画と映画の間に上映するニュース映像だったような気がします。

主人公の刑事役は仲代達也さんが演じていました。

記憶に新しいところではSMAPの中居正広さんが和賀英良を演じた2004年のテレビ版。こちらは完全に和賀英良サイドからの視点で描かれていましたね。

今西刑事役は渡辺謙さんでした。

時代とともにこの原作の解釈は大きく変化しますし、戦後というテーストとか空気感はまったく薄れてしまいましたが、映画版の迫力の原点には脚本のうまさがなんといっても影響していると思いますね。

素晴らしい作品でした。

(評価:★4)

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