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[コメント] 華麗なる一族(1974/日)

「社会派エンターテイメント大作」とあったが、その名に恥じぬ仕上がりである。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







1974年製作だから30年以上前のものだというのに不思議と古さを感じさせない。それは大銀行の身勝手で傘下の鉄鋼業まで切り捨てる、その凄まじさが今日に通じるからか。はたまた政財官を巻き込んだ策略があまりに生々しいからか。

いずれにしても途中休憩をはさんで3時間半を越える長さをあまり感じさせなかった。さらに出演陣もまさに豪華キャストをそろえてそれぞれが持ち味を生かして見ごたえも十分であった。

大勢の役者が出演しているが、一人一人に印象深いシーンがあって、その役者の持ち味を存分に生かした山本薩夫監督の手腕にうなる。今の日本に、これだけの俳優たちをここまで「使いこなせる」度量のある監督はいるだろうか。

全編を通じて、己の野望のために全てを犠牲に銀行合併を仕掛けながら、さらにその上を行く最後のどんでん返しも鮮やかであった。

そのどろどろとした野望の姿は、後に製作されたヤクザ映画『日本の首領<ドン>』の原型はこれかと思わせるに十分であった。

(評価:★5)

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