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[コメント] 青春の蹉跌(1974/日)

冒頭アバンタイトルは、船上?ローラースケートで椅子等を片付ける萩原健一。この場面、以降何度か挿入されるが、他のプロットに絡む説明はされないイメージショットだ。
ゑぎ

 クレジットバックはアメフトのシーンで、移動とパンとズームを駆使して見せる。これがなかなかいい。観客席に檀ふみ。可愛い。萩原は桃井かおりの家庭教師をやっており、桃井はブラ姿で登場する。小坂明子の「あなた」が流れる。

 上野駅交差点の歩道橋が二度出て来る。スキーへの出発はこゝから。スキー場で、桃井が萩原を負んぶしてスキーを滑るカットがある。以降、負んぶと馬乗りのモチーフが何度も反復される。最初のスキー場のシーンは短い。大学での森本レオや、成城の叔父さん高橋昌也等が繋がれる。時間はよく飛ぶ。フラッシュバックなのか、フラッシュフォワードなのか分からない繋ぎ。スキー場のシーンに戻り、夜、寝間での濡れ場がある。こゝの桃井、アホっぽいが可愛い。後の雪山のシーンでは、桃井は雪上で上半身裸になる。

 本作も基本アフレコ、二人を横並びに映すカットが多く、リバースショット(切り返し)は殆ど無しだが、萩原と桃井が会話する場面は、ところどころ切り返しになる。

 あと、赤座美代子がクラブで唄うシーンがあるのだが、なかなか上手くて吃驚した。それと、高橋の所有するヨットでの海上シーン。赤い水着の檀ふみが、デッキから海へ飛び込むカット等良く撮れていて感心する。この海上のシーンは、他の薄暗いシーンと対比が効いて、とても美しく、印象に残る。

 また、当時「WHAT TO DO NEXT」がキャッチコピーの、ゼロックスのCMが挿入されるのは大胆不敵なムードを上手く作っている。他にも、当時としては、全般的に、カッティングの斬新さは目を引いただろう、結婚披露宴のシーンに、赤い上下の服を着た檀ふみの、自転車の練習カットがフラッシュ・フォワードされる部分なんかは、今見てもカッコいいと思う。

 萩原のワザとまともに唄わない斎太郎節の反復なんかも神代辰巳らしさだろうが、これは今見てノイジーなだけのように思える。

#備忘でその他配役等を記述。

・萩原の母親は荒木道子。友人で河原崎健三と赤座美代子。檀のボーイフレンド、中島久之。産婦人科医で久米明。刑事で下川辰平

・表参道のデモシーンでは、当時の社会党委員長、成田知巳が演説をしている。

・新宿の歩行者天国で、檀と歩く中島久之にすがり付くのは芹明香だ。「100円でええねん」とねだる。

・「100円ちょうだい婆さん」は、最近まで(今も?)渋谷にいたことは有名だと思うが、私は文化村辺り(東急百貨店前バス停のベンチ)で何度か声をかけられた。かつて、1980年代の地下鉄梅田駅の自動券売機のところにもいた。都会ではよくある風景なのか。

(評価:★4)

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